心と体がつながる不思議 - 5分呼吸法が不安を軽くする仕組み
年齢を重ねるにつれて、これまで感じたことのないような漠然とした不安や、ちょっとしたことで心が落ち着かなくなるような経験が増えたと感じる方もいらっしゃるかもしれません。健康のこと、これからのこと、そしてご自身の心と体の変化に戸惑うこともあるかと存じます。
心がざわついたり、緊張したりする時、私たちの体もそれに合わせて反応しています。例えば、ドキドキしたり、呼吸が浅くなったりすることもあるでしょう。実は、心と体は密接につながっており、どちらか一方の状態が、もう一方に影響を与えているのです。
5分呼吸法はなぜ心に効くのでしょうか?
当サイトでご紹介している「5分でできるマインドフルネス呼吸法」は、不安や緊張を和らげるためにおすすめの方法です。では、なぜ呼吸に意識を向けることが、私たちの心を落ち着かせる助けになるのでしょうか。
難しい仕組みを覚える必要はありませんが、少しだけその理由を知っていただくと、呼吸法に取り組む際の安心感につながるかもしれません。
私たちは普段、意識することなく呼吸をしています。しかし、不安や緊張を感じている時は、呼吸が速くなったり浅くなったりしがちです。このような呼吸の状態は、私たちの体にある自律神経という、体の働きを無意識のうちに調整しているシステムに影響を与えます。不安な時に優位になる交感神経が活発になり、さらに心拍数を上げたり、筋肉を緊張させたりと、負の連鎖が生まれることがあるのです。
呼吸を整えることが心にもたらす変化
ここで「5分呼吸法」のように、意図的にゆっくりと深い呼吸を行うと、何が起こるでしょうか。
- 自律神経のバランスを整える助けに: ゆっくりとした深い呼吸は、リラックスを司る副交感神経を優位にするよう働きかけます。これにより、心拍数が落ち着き、体の緊張が和らぐことにつながります。体の状態が落ち着くと、不思議と心のざわつきも静まってくることがあります。
- 「今、ここ」に意識を向ける練習: マインドフルネス呼吸法では、「今、この瞬間の呼吸」に意識を向けます。過去の後悔や未来への心配事など、心の中を駆け巡る考えから少し距離を置き、「今、呼吸している自分」に意識を集中させます。この「今、ここ」に意識を向ける練習が、頭の中の思考を落ち着かせ、心の負担を軽くする助けになります。
- 自分自身への優しさ: 呼吸に意識を向ける時間は、ご自身のために意図的に設ける大切な時間です。忙しい日常の中で、立ち止まって自分の内側に目を向けることは、自分自身を大切にする行為です。この積み重ねが、自己肯定感を育み、心の安定につながります。
5分でできる簡単な呼吸法の手順
それでは、改めて5分でできるマインドフルネス呼吸法の基本的な手順をご紹介します。椅子に座ったままでも、寝転がったままでも構いません。ご自身が最もリラックスできる姿勢で行ってみてください。
- 楽な姿勢をとる: 椅子に座る場合は、足の裏を床につけ、背筋を軽く伸ばします。手は太ももの上などに優しく置き、体の力を抜きます。
- 目を閉じるか、軽く閉じる: 視覚からの情報を減らすことで、ご自身の内側に意識を向けやすくなります。
- 自然な呼吸を感じる: 普段通り呼吸している、そのままの呼吸に意識を向けます。鼻から入る空気、出ていく空気、お腹や胸の動きなど、呼吸に伴う体の感覚をただ観察します。深い呼吸をしようと無理する必要はありません。
- 意識がそれたら、また呼吸へ戻す: 呼吸から注意がそれて、何か別のことを考え始めたことに気づいたら、「あ、考えていたな」と優しく認め、批判せず、またそっと呼吸に意識を戻します。これを繰り返します。
- 5分間続ける: タイマーをセットするなどして、まずは5分間続けてみましょう。
継続することが心の変化につながります
この5分呼吸法は、一度行っただけで劇的な変化を感じるというよりは、繰り返し行うことで、少しずつ心が穏やかになる時間を増やしていくようなものです。毎日決まった時間に行う必要はありません。朝起きた時、家事の合間、寝る前など、ご自身の生活リズムに合わせて、無理なく続けられる時に「たった5分だけ」試してみてください。
心と体は本当に不思議なほどつながっています。呼吸という誰でもできる簡単な行為を通して、ご自身の心に穏やかさをもたらすことができるのです。
この呼吸法が、あなたの日常に少しでも安心と安らぎをもたらす助けとなれば幸いです。焦らず、ご自身のペースで、まずは「5分」から始めてみませんか。