昔のことが思い出されて心が重くなる時 - 5分呼吸で気持ちを整理する方法
昔のことが思い出されて心が重くなる時、どうすれば良いのでしょう
私たちは生きていれば、様々な出来事を経験いたします。時には、ずいぶん前のことなのに、なぜか急に思い出されて、心がふっと重くなる、そんなことがあるかもしれません。あの時、ああすればよかった、どうしてこうなってしまったんだろう、と、変えることのできない過去について考えてしまい、気分が晴れなくなることもあるでしょう。
過去の出来事を思い出すのは、誰にでもあることです。大切な思い出もあれば、少し辛い記憶もあるかもしれません。特に、自分でどうすることもできなかったことや、後悔を感じることについては、考え始めるとぐるぐると頭から離れなくなり、心が締め付けられるような気持ちになることもあるのではないでしょうか。
そんな時、無理に忘れようとしても、かえって辛くなるものです。でも、少しだけ心を軽くする方法があります。それが、このサイトでご紹介している「5分でできるマインドフルネス呼吸法」です。過去にとらわれがちな心を、「今、この瞬間」にそっと引き戻すお手伝いをしてくれます。
5分呼吸法が心の重さを軽くするわけ
マインドフルネス呼吸法と聞くと、特別なもののように感じる方もいらっしゃるかもしれません。しかし、これは「今、この瞬間に自分の呼吸に意識を向け、注意を集中すること」を通して、心を落ち着かせる練習です。
過去のことが思い出されて心が重くなる時、私たちの心は「過去」という時間に強く引き寄せられています。そこで起こったこと、そこで感じた感情に心がとらわれてしまい、今ここにいる自分を忘れがちです。
5分呼吸法は、意識的に自分の「呼吸」という「今、この瞬間」に起こっていることに注意を向けます。そうすることで、過去の出来事から注意をそらし、少しずつ「今」に戻ってくる練習をするのです。これは、過去を変えることはできませんが、過去へのとらわれから自由になり、今の自分の感情や状態に気づき、それをそっと受け止める手助けになります。
昔のことが思い出された時に試したい 5分呼吸法のやり方
昔のことが頭をよぎって心が重くなったな、と感じたら、ぜひこの5分呼吸法を試してみてください。特別な場所や道具は必要ありません。椅子に座ったままでも、立ったままでも、楽な姿勢で行うことができます。
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楽な姿勢になりましょう 背筋を軽く伸ばし、肩の力を抜いてください。椅子に座っている場合は、足の裏をしっかりと床につけると落ち着きます。
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目を閉じるか、優しく視線を落としましょう もし抵抗がなければ目を閉じてみてください。難しければ、目の前数メートルの床など、一点をぼんやりと見るだけでも構いません。外からの情報を少し減らすことで、内側(自分の呼吸)に意識を向けやすくなります。
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自分の呼吸に意識を向けます 鼻から入ってくる空気の温度や、お腹が膨らんだりへこんだりする感覚、口から出ていく空気の音など、自分の呼吸を感じるところに、そっと注意を向けてみてください。深く吸おう、長く吐こうと無理に調整する必要はありません。今のありのままの呼吸を、ただ感じてみましょう。
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考えが浮かんできても大丈夫です 過去の出来事や、それに対する気持ち、今日のことなど、様々な考えが頭に浮かんできたり、過去の記憶に引き戻されたりするのは自然なことです。「あ、考えていたな」と気づいたら、自分を責めることなく、心の中でそっとその考えを認め、「さて、また呼吸に戻ろう」と、優しく注意を呼吸へと戻します。
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そのまま5分間続けます もし可能であれば、タイマーなどを使って5分間測ってみましょう。タイマーの音が気になる場合は、おおよそ5分、と時間を決めなくても構いません。心が少し落ち着くまで、自然な呼吸を数分間感じてみます。
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ゆっくりと終わりましょう 時間が来たら、すぐに立ち上がったり動き出したりせず、まぶたの裏の光や、部屋の音、体に触れている衣服の感覚など、外の世界にも少しずつ意識を戻してから、ゆっくりと目を開け、体を動かしましょう。
続けることで得られること
この5分呼吸法を続けていくと、過去の出来事にとらわれそうになった時に、「あ、また過去のことを考えているな」と、少し早く気づけるようになるかもしれません。そして、それに気づいた時、「呼吸に意識を戻してみよう」という選択肢が自然と生まれてくるでしょう。
無理に過去の辛い記憶を消し去ることはできませんが、呼吸を通して「今」に戻ってくる練習をすることで、過去の出来事やそれに対する感情と、自分自身との間に、少しだけ健康的な距離を置くことができるようになります。心が過去に縛られる時間が減り、今の時間を穏やかに過ごせるようになるのです。
ご自身のペースで、優しく続けてみてください
この呼吸法に「こうしなければならない」という決まりはありません。集中できなかった、すぐに考えが浮かんできた、と感じても、それは決して失敗ではありません。ただ、それに気づいたご自身を認めてあげてください。完璧を目指すのではなく、今日、この瞬間の呼吸に少しだけ意識を向けてみる、という気持ちで十分です。
もし、心の不調が長引いたり、この方法を試しても苦しい気持ちが続く場合は、無理をせずに、医師や専門家にご相談いただくことも大切です。ご自身の心と体を大切にすることを、最優先にしてください。
昔のことが思い出されて心が重くなる時、たった5分でできるこの呼吸法が、ご自身の心と向き合うための一歩となり、気持ちを整理するお手伝いになれば幸いです。無理なく、ご自身のペースで、ぜひ試してみてください。